実際にいまいじっている、強制開閉式のMIKUNI VM26系が前提。
キャブの調整箇所と、何が変わるのか
調整でいじれる項目:
- アイドリング調整ネジの締め具合(全閉時のスロットルバルブの隙間の広さ):アイドリング時の混合気量を調整(アイドリング回転数が変わる)
- エアスクリューの戻し角:スロー系の空気量を調整(混合気量と空燃比が変わる)
- スロージェットの番手:低開度時の燃料量を調整(空燃比が変わる)
- メインジェットの番手:全開時の燃料量を調整(空燃比が変わる)
- ジェットニードルのクリップ位置:中開度域の燃料量を調整(空燃比が変わる)
- フロートアーム中央のツメの確度:フロート高さ(油面高さ)を調整(全域にわたり空燃比が変わる)
※油面は調整というより既定値に合わせるのが基本。オーバーフローしてる場合は高すぎる。
※ニードルは細かくいえばクリップ角だけでなく形状(テーパー角)や太さの違いも影響する。
※他は必要があれば調整。
補足(VM26系には存在しないが参考に):
- フューエルスクリューの戻し角:スロー系の燃料量を調整(空燃比が変わる)
※パイロットスクリューに、空気量を変えるもの(エアスクリュー)と燃料量を変えるもの(フューエルスクリュー)があり、最近は後者が主流。日本では、後者だけを指して「パイロットスクリュー」と呼び、「エアスクリューとパイロットスクリューの違い」とか言う場合が多いのだが、英語だとair screwとfuel screwという呼び分けがされている。
※エアスクリューはキャブの後ろ側(エアクリ側)、フューエルスクリューは前側(エンジン側)に付いている。
走行時の操作(キャブ調整ではないが参考に):
- スロットルバルブ高さ(スロットル操作によるもの):すべての開度域にわたって(ただし特に低開度域の)混合気量を調整(出力=トルク×回転数が変わる)
混合気量と空燃比が変わった場合の影響
- 混合気の量そのものが増えると、出力が上がる
- 空燃比が濃くなると、燃焼がゆっくりになり、低回転のトルク感が増す(かぶりやすい,高回転への吹け上がりが鈍い)
- 空燃比が薄くなると、燃焼が速くなり、回転上昇がシャープになる(低回転が不安定,エンストしやすい)
※限度を超えた濃すぎ、薄すぎはいずれも燃焼が不安定になる。濃すぎの場合はプラグがかぶって黒っぽくなる、排気ガス臭いといった症状、薄すぎの場合はプラグが焼き付いて白っぽくなる、高回転でパワー急落といった症状。
※薄すぎるよりは濃すぎるほうが遥かにマシ。2stは圧縮比が大きく熱負荷も高いので、薄すぎると高温になりオイルも不足して、焼き付いてピストンが逝くケースがよくある。濃すぎてかぶるのは致命傷にはならない。
※燃料を濃くすることで、トルクの最大値が増すわけでも、爆発のエネルギーが増すわけでもなく、混合気の燃え広がりが遅くなってトルクの持続を感じやすくなる。濃い場合は持続型のトルクが生まれ、薄い場合は瞬発的なトルクが生まれるので、瞬間的な最大トルクは薄い場合のほうが高く、高回転時はそちらが有利(薄めの方がパワーバンドが上にズレて高回転域が強くなる)。
調整の手順
まず大前提として、
- 油面高さを既定値に合わせる。(オーバーフローしないように)
気象条件などに合わせた日々の調整としては、
- まずアイドリング調整ネジでアイドリング回転数を止まるか止まらないかのレベルに合わせる。
- 次にエアスクリューで低開度での回転の安定性や低速時の粘りのフィーリングを合わせる。
※低開度時、薄すぎると開度一定でも回転数が上昇してしまったり、一気に開けたときにボギングが起きる。
走りを方向づけるという意味では、
- 全開にしたときにちゃんと吹けるかを確認(濃すぎると逆に回転が下がる)。調整するならメインジェットの番手を変えるとかになる。
- 低開度での安定感を確認。エアスクリューの戻し角で調整。
- 低開度から全開まで徐々に開けて行って、中開度域で違和感なくつながっていくかを確認。調整するならニードルクリップ位置等。
※薄すぎるとエンジンが焼き付いて致命傷になるので、濃いめから試していくのが鉄則。
※スロットル開度大→中→小の順で調整する人もいる。
車両特性ごとの違いとしては、
- トライアルは、低開度も高開度もやや濃いめ。
- エンデューロは、低開度でやや濃いめ、高開度でやや薄め。
- モトクロスは、低開度も高開度もやや薄め。









